移転価格税制の基礎知識

国によって、企業に課す税金は異なります。
この場合、どのような問題が考えられるかと言えば、例えば関連会社同士で取引をする場合です。
日本とアメリカにそれぞれ日本の企業がある場合、この2つの関連会社同士で取引をすると実際にはその国の税制に従って税金がかかるようになるでしょう。
ところが、日本とアメリカでは企業に対してかかる税金が異なります。
そこで、関連会社同士の場合は内部の数字を操作し、可能な限り税金がかからない国のほうに高い所得を与えるようにするわけです。
そうすると、総合的に見ればその会社の支払う税金が少なくなります。

日本とアメリカならばそこまで支払う金額の差はありませんが、発展途上国などの場合には大きな差が出る可能性があるわけです。
しかしこのように関連企業同士で数字を操作し所得を変えてしまうと、日本国内の税収入が減少する可能性があります。
移転価格税制を導入し、関連企業内部の情報操作をなくすようにしているわけです。

移転価格税制と税務調査

移転価格税制を語る上では、税務調査の話を抜きにすることができません。
税金の落差がある2つの国の企業が取引をして、その事情同士が関連会社の場合情報操作をすることにより税金を少なく支払うようにすることができるわけですが、これを防止するのが移転価格税制と呼ばれるものです。
この移転価格税制を設けたとしても、移転価格税制が機能しなければなんら意味がありません。

そこで、移転価格税制を機能させるために定期的に税務調査を行うわけです。
よくニュースなどで、大企業が税金の申告漏れがあったと世間を騒がしていますが、これは移転価格税制の税務調査の結果によるものが大きいといえます。

日本国内では、移転価格税制の税務調査は他の国に比べると比較的徹底して行っている方です。
税金の割合が高い国ほどその調査をしなければ損をする可能性が高いため積極的に税務調査を行う可能性があります。
日本以外では、アメリカそしてヨーロッパなどの先進国は積極的に税務調査を行い、自分の国の税収をしっかりと確保しようとしています。

まとめ

移転価格税制は、同族企業や関連企業の間で生じる可能性が高いです。
どちらかの国の税金が安い場合、そちらの国にある会社の所得を高めることで税金の支払いを減らすことができるわけです。
このようにすると、税金が高い国が損をしてしまう可能性があるため移転価格税制を導入します。

とは言え、このような制度を導入したとしても形式的に存在する意味がありません。
そこで積極的に、税務調査を行い脱税の恐れがないかを徹底して調査をしていくわけです。